代表挨拶
2020.03.19
死を想い、生を紡ぐ
たった半世紀前、人は家で生まれ、老い、病み、死んでいったものですが、今では病院で生まれ、施設で老い、病院で死ぬことが相場となっております。
家族の一人が病むと、周りもその病勢の浮沈に一喜一憂し、その死を共体験したものです。
しかし、生老病死が日常から放逐された現代では、看病、見舞い、一連の葬送儀礼などにまつわる文化や風習も失われ、要するに、私たちはどう老い、病み、死んだらいいか分からなくなっております。
主として、文学、宗教、神話、民俗などの観点から、日本の生と死の変遷とあるべき姿を求め続けて40年。
誰も免れないこの死への道行きを、どう心豊かに生き切るかを、皆様とともに、同じ目線で語り合って生きていきたいとおもいます。
いのちの絆 代表 金山秋男
金山秋男プロフィール
明治大学名誉教授 / 死生学・基層文化研究所代表 / 国際熊野学会副代表 /「 いのちの絆」 代表
1948 年 栃木県生まれ。
栃木県立大田原高校卒、慶應義塾大学法学部卒、日本郵船株式会社を経て東京大学大学院へ。
アメリカ文学専攻。同大学院博士課程修了。
以後、明治大学で英語と文学を教えるも、神経症をきっかけに曹洞宗の総持寺で禅修行に入り、道元の 正法眼蔵の究明に入る。
同書の生死の巻から死生学研究にはいるが、それが日本人特有の霊魂観や他界観究明の道を開き、伊勢、熊野の神話、沖縄を中心とした民俗学の道が開かれる。
以後、主として死生学、神話学、宗教民俗学、仏教文学の道を歩み、その成果は国際熊野学会、日本仏教看護ビハーラ学会など国内外での講演のみならず、広く神社仏閣など一般社会でも数々の講座を展開して、生活者の目線から発せられる易しい語り口には定評がある。
特に詩歌に詠まれた日本人の生老病死の受け止め方についての語りは人気を博している。
著書に「生と死の図像学」「巡礼、その世界」「生と死の東西文化史」「人はなぜ旅に出るのか 」「歎異抄」
編著に「古典にみる日本人の生と死」「日本人の魂の古層」
監修に「親鸞聖人の教え『歎異抄』を書き写す」
数年にわたり毎月様々な分野から集まり、「知の梁山泊」を、また希望者が全て参加できる「いのちのフォーラム」を開催、日本各地から講師をお招きし、活発な議論を重ねてきている。