いのちの絆

たった半世紀前、人は家で生まれ、老い、病み、死んでいったものですが、今では病院で生まれ、施設で老い、病院で死ぬことが相場となっております。
家族の一人が病むと、周りもその病勢の浮沈に一喜一憂し、その死を共体験したものです。
しかし、生老病死が日常から放逐された現代では、看病、見舞い、一連の葬送儀礼などにまつわる文化や風習も失われ、要するに、私たちはどう老い、病み、死んだらいいか分からなくなっております。
主として、文学、宗教、神話、民俗などの観点から、日本の生と死の変遷とあるべき姿を求め続けて40年。
誰も免れないこの死への道行きを、どう心豊かに生き切るかを、皆様とともに、同じ目線で語り合って生きていきたいとおもいます。

『いのちの絆』の主な活動と趣旨 ー死を想い、生を紡ぐー

現下の深刻なパンデミックは、私たちの生き方に本質的な再考を迫るものと言って良いでしょう。おそらくこれからも波状的に襲ってくるウィルスとの共存のため、私たちは生き方の根本を問い直さざるを得ないと思います。

私たちはまだ近代主義の余韻の中にあり、医療においても「対癌戦略」とか「癌制圧」といった軍事用語が使用されているのは、他者、他民族、他生物から自分を切り離し、それらを対象化して差別し、ときには否定したり、攻撃すらするという西洋的な人間、白人中心主義がまかり通っていた証左と言って良いでしょう。

いま、私たちには、これまでの “death education “(死への準備教育)のみならず、”life education “ こそが不可欠であると思われます。まさに、前世紀末癌で倒れた女性記者が言うように、「よく死ぬことはよく生きることだ」と言うことですから。

私たちはこのように、単に高度成長経済による物的豊かさ、高度医療高度医療による寿命の無限延長、アンチエイジング技術による若さへの執着などから目覚め、また人類の欲望を宇宙に拡散するのではなく、改めて生態系を保全しつつ、この与えられた地球に永住する道を探るために、さしあたり下記のプロジェクトを発足いたします。

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